2009-01-01から1ヶ月間の記事一覧

『稲垣足穂』の私的小説−『一千一秒物語』のDarkSide

私小説は、好かない。が、ここでは『稲垣足穂』を少し紹介しよう。 ネットをちらほらみていたら、『稲垣足穂』を知らない人も多いという文章を目にした。 http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0879.html小説を紹介するには、原文を引用するに勝る手段が思…

エイズとは何だったのか?−『隠喩としての病 エイズとその隠喩』

エイズの発祥の地域がアフリカだということは、一応専門家の間でも一致しているらしい。 もし、この病が”対岸の火事”であったなら、この病気をめぐる様々な言説は生まれなかったろう。 そしてエイズは、疫病を説明する古典的なスクリプトをなぞるがごとくに…

『モダン・ネイチャー』−デレク・ジャーマンの日記を読んで

これは、「デレク・ジャーマン」の日記だが、タイトルの意味が最後の訳者後書きを読むまで分からなかった。 最初から最後まで、余りに庭の植物への記述が多いので、それで「ネイチャー」なのかと誤解していた。 「モダンネイチャー」というタイトルについて…

『ゲイ文化の主役たち』を読んで−その2−『サミュエル・R・ディレイニー』

『ゲイ文化の主役たち』を読んだのは随分前だが、一番驚いたのが『サミュエル・ディレイニー』の項だ。 日本でも彼の名前は有名だ。特に「バベル-17」で、華麗で、煌めく文体に眩惑されたSFファンは多い。バベル17 (ハヤカワ文庫 SF 248)作者: サミュエ…

A Happy New Ear!−微熱に浮かされて−「フランシス・ポンジュ」

「フランシス・ポンジュ」は読まれなくなった詩人の一人だろう。 前回(いつだ?)に引き続き、詩を引用する。(詩はブログに適していると思う)。 ファウナは動くが、フローラは目の動きに従って広がる。 生きている者たちのまるまる一揃いが、地面によって…