「チャック・パラニューク」

美しき友あり 鹿の腸なせり

魅惑的な句だが、引用したのは別の理由から。
この句の作者と本(題名)が思い出せないので、探そうにも手段がない。(確か神保町の地方出版物を扱っていた書店に注文したハズ)。
以下、「チャック・パラニューク」について書こうと思うのだが、肝心?の「ファイト・クラブ」を読んでいない。映画の「ファイト・クラブ」の印象が悪すぎて、原作を買う気などしなかった。
今更ながらと文庫版の「ファイト・クラブ」をここ数日探すも、どこにも売っていない。(洋書コーナーにも何故か「ファイト・クラブ」だけなかった)。
上記の句が書かれた本と同様に見つからないのだ。
よって、「ファイト・クラブ」抜きの「チャック・パラニューク」についてのみ書く。
が、ここで小説(文学でもよいが)についての書き方が分からない。

そうですね。「謎」というものの周囲をめぐって小説を書くと、徹底して通俗的になるのだと思いますね。
(中略)
村上春樹の小説は「謎」をめぐって書かれているわけで、もちろん、他の小説家でも思わせぶりな「謎」をめぐって書く人は多いですよね。いちいち名前はあげませんけれど。「謎」を思わせぶりに書くのは小説の退嬰ですね。


「小説論」金井美恵子著より抜粋

小説論 読まれなくなった小説のために (朝日文庫 か 30-3)

小説論 読まれなくなった小説のために (朝日文庫 か 30-3)

自分は「金井美恵子」の全面的支持者ではない(特に「恋愛太平記」とか読めない。彼女は短編、とくに初期のものが好きだ)。

ここで「金井美恵子」氏を引用したのは、”ストーリー紹介を兼ねての感想”を書いてもよいかな?との思惑から。

  • 「サバイバー」

サバイバー (ハヤカワ文庫NV)

サバイバー (ハヤカワ文庫NV)

冒頭が”47章”からはじまるが、さして意味は無い(「コルタサル」の「石蹴り遊び」ではないのだ)。*1”46章”からが始まりといえる。主人公の”テンダー・ブランソン”は、成金夫婦の家の家事一切を任されている。料理から掃除、庭に関してまでだが、ここで「チャック・パラニューク」独特の細かい記述が表れる。だが、さして苦痛ではない。家事をこなしながら、自殺相談の電話(日本でいえば”命の電話”みたいなもの)もこなす。自殺志願者の相談に、”死ねば”、”死んだら?”と繰り返す。庭の手入れの為に、葬儀用の捨てられた花を拾う最中に、”ファーテリティ・ホリス*2”という女性と知り合う。彼女は、夢で未来のあらゆる事を知る能力を持っている。
主人公の”テンダー・ブランソン”は、実はある新興宗教クリード教団で生まれ育っているのだが、この教団では、成人になると、外の世界に奉公に出かけその報酬を教団に送金する。しかし、グリード教団は、ある日、官憲の捜査の手が入ると、集団自殺してしまう。残されたのは奉公に出ていた者だけだが、それも次々と自殺していく。当初は教団の教え通りに自殺しているのだと思われたのだが、残された元信者の数が減るにしたがって、それが”テンダー・ブランソン”の兄、”アダム・ブランソン”による他殺と判明しはじめる。一方”テンダー・ブランソン”は、非人道的な教団の”唯一の生き残り”として、ある敏腕エージェントにより、カリスマ化され、巨大ビジネスの象徴として、全米に知れ渡り、熱狂的な支持を得る・・・。


とここまで書いたが、虚しくなる。無駄な作業だ(面倒だということもある)。
そこで、作品だけ紹介する。

  • 「ララバイ」

聞かせるだけで、人を殺せる”間引きの歌”が載っている”世界の詩と歌”という本を巡り、アメリカ中を旅するお話。

ララバイ (ハヤカワ・ノヴェルズ)

ララバイ (ハヤカワ・ノヴェルズ)

  • 「チョーク」

セックス依存症の主人公が、”ある演技”*3しながら、認知症の実母を介護していくお話。

チョーク! (Hayakawa novels)

チョーク! (Hayakawa novels)

事故で、顔面が崩壊した女性のお話(刺激的という点では、これが一番?)。

インヴィジブル・モンスターズ (ハヤカワ・ノヴェルズ)

インヴィジブル・モンスターズ (ハヤカワ・ノヴェルズ)

洋書も一応紹介(購入したが、読んでいない)。

Diary: A Novel

Diary: A Novel

Haunted: A Novel

Haunted: A Novel

Rant: The Oral Biography of Buster Casey

Rant: The Oral Biography of Buster Casey

Pygmy

Pygmy


さて、ここまで書いて、自分が「チャック・パラニューク」を紹介した理由を書こう(これがこの文章を書いた動機だ!)。
自分は彼がゲイだと知って、興味をもち、邦訳三作品を丁寧にゲイサイドから読んだ。
結論からいえば、作者がゲイだという事実は、作品のどこにも全く影響していないし、むしろ”ストレートの小説家”とさえ思える。

Is he married?
No, but he has been in a long term, committed relationship for over a decade.


Frequently Asked Questions About Chuck Palahniuk | The Cultより

オフィシャルHPの上記の質問の答えもシンプルだ、多くは語らずというところだろう。

というより、
もはや作家がゲイだろうと珍しくもないし、彼の作品から”ゲイテイスト”を読み取ろうとするなら愚かな行為だ!

最後に参照:Chuck Palahniuk - Wikipedia
興味がある人はここから探して。

以上、私事で、ブログを書く時間が取れなかったので、お粗末すぎる内容でした。

いつもなら、ここでYoutubeを紹介して、お茶を濁すところだが、「ファイト・クラブ」はみたくないし、色々さがして、こんなのをオマケに。

*4

P.S.映画の「ファイト・クラブ」をみて落胆した自分は、間違っているんでしょうか?

*1:落丁と間違えないようにと後書きにもあるが、そんな読者がいるのか?

*2:本名は”グゥエン”だ

*3:タイトルに関連

*4:これが一番彼らしいと感じたので、他にも無数にYoutubeはありますが見きれません。