永遠のお別れー『キング・クリムゾン』/やがてお別れ?『アファナシエフ』
「私はここに居たこともあれば、あそこに居たこともある。そしてその真中にも」というキング・クリムゾンの歌にある。一九七四年、モスクワを離れる最後の夜に、私はこのレコード(《クリムゾン・キングの宮殿》)を聴いていたこを思い出す。
(中略)
他方キング・クリムゾン、ピンクフロイド、ジェネシス、イエスなどのいくつかのロック・グループは、私にブラームスを想わせる。(私は一九七七年以前に行った録音を念頭においている。彼らの「親和力」を分析し、この問題を考察することが、無意味だとは思わない。)
キング・クリムゾンのもう一枚のアルバム《レッド》は、一種のレクイエムだ。(そのオープニング・ソングは、ブラームスの《第四交響曲》のフィナーレのようだ。)
『音楽と文学の間』ヴァレリー・アファナシエフ著
- 作者: ヴァレリーアファナシエフ,Valery Afanassiev,平野篤司,飯沼隆一,明比幸生
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この文章を読んだ時は、驚いた。クラシックのピアニストがこれだけロック(まぁプログレ)を聴き、しかも”一九七七年”と、プログレッシブ・ロックの終焉の時期をスバリ言い当てていることに。しかも、ロシアを出国する前夜に「キング・クリムゾン」を聴いているクラシック畑の人ってどんな感性なんだ?
「ポリーニ」も「グールド」もこれらの音楽を拒絶した発言を繰り返してしている。
如何に「アファナシエフ」が特異な存在かを如実に示す記述だと思う。
自分にとって「キング・クリムゾン」は『レッド』で終わっていると思う(その後の活動はクズだ)。
「ピンク・フロイド」も「ジェネシス」も「イエス」も再結成したりして無様な姿をさらけだしているが、「キング・クリムゾン」も同様だ。’80年代に入り、もう彼らの役割は終わってしまったのだ。
いわゆる”ロックとポップ”音楽には二種類あると思う。一つは、その時代背景無しには共感出来ないもの。もう一つは時代に関係なく、いつでも気軽に聴けるものの二つに。
その意味で、個人的に「キング・クリムゾン」を聴くことは、個人的に、もう無い。
ここで「キング・クリムゾン」のYoutubeを紹介したいのだが、適当なのがない(リーダーの「ロバート・フリップ」はロイヤリティにうるさいのだ)。
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結論をいうと「キング・クリムゾン」はデビュー作『クリムゾン・キングの宮殿』という大傑作を残し、『レッド』で見事に終わったのだ。
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ついでに恨み節。「アファナシエフ」は前掲の本で”地獄に墜ちたシューベルト”という文章を書いている。これ、未だに納得出来ない(彼はいままで5つのシューベルトに関するエッセイを書いていると本書で述べている)。
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(参照:http://blog.intoxicate.jp/content/2008/03/post.html・http://blog.intoxicate.jp/content/2008/04/5_8aae.html・ヴァレリー・アファナシエフ 特別寄稿:死と愉しみ(全訳)第5回(最終回) - intoxicate (イントキシケイト))*1
だが、彼は、自分自身を裏切り、彼の存在に関心を抱いていた人々のうちにあって、彼が代表していたものを裏切ったのだ。
(中略)
私はかつてあるエッセーで、もしシューベルトがさらに十数年生きていたら、ダンテの地獄にいくつかの圏域を付け加えていただろうと問うたことがある。今日なら、人生最後の二年間に、彼は地獄の圏域の第三二章に描かれた自殺者の森の樹木のように、血を流している。
『音楽と文学の間』”裏切り者シューベルト”より
「アファナシエフ」は、音楽活動から「著述業」へとこの先転身していくような気がする。
(この前後意味無いので削除しました)。
P.S.プロからみて、彼の演奏ってどう評価されるのか?自分は『平均律』がマトモだなと思う。さすがに『モーツァルト』*2はちょっと・・・。
「文学」の素養が豊富なことと、「ピアニスト」として才能があることが相反するとまでは言わないが、「アファナシエフ」は日本で過剰に評価され過ぎていると思うのは自分だけか???