「異色作家短編集」−『赤い影』を観てデュ・モーリアを読もう

『異色作家短編集』をこれから不定期に取り上げていきたい。最初はマイナーな「デュ・モーリア*1を選ぶ。デュ・モーリアといえば、ヒッチコックの「鳥」&「レベッカ」の作者として余りにも有名だが、本来彼女の作風はサスペンスではない。どちらかと云えば”英国ゴシック・ロマン作家”の作風だった。が、彼女の作品には特異なものも多い。「異色作家短編集(旧版)」に選ばれたのがその証拠。この旧版は長らく絶版で、神保町でも高値だった。そして早川書房が2005年度版*2の異色作家短編集をニューヴァージョンとして再発売。


2005年度版の異色作家短編集にはデュ・モーリアの『破局』が含まれている。収録作は、「アリバイ」、「青いレンズ」、「美少年」*3、「皇女」、「荒れ野」、「あおがい」の六作。どれも彼女の作風がよく表れている。
意外な展開とか、サプライズエンディングは無い。ただ、”周囲との齟齬”、”雰囲気の微妙な差異の恐怖”。じわじわと伝わってくる戦慄感だ。

破局 (異色作家短篇集)

破局 (異色作家短篇集)

さて、ここで彼女の作品で映画化された『赤い影(Don't Look Now)』に注目したい。

赤い影 [DVD]

赤い影 [DVD]

と、何気なくアマゾンを見ていたら、上記作品は来年2月に再発売されるのだ。この新作には、特典としてニコラス・ローグ監督による音声解説/回想ドキュメンタリー/アラン・ジョーンズによるイントロダクション/フォト・ギャラリーが付くらしい。楽しみだ。
赤い影 [DVD]

赤い影 [DVD]

(前後削除しました)

P.S.監督の「ニコラス・ローグ」ってあの「地球に落ちてきた男」の監督だったとあらためて知った。オマケ動画としてこれもUP。「David Bowie」主演も失敗作(だと思う)

*1:彼女はバイセクシャルだったのではないか?という説もあるが自分は「誰それも”ゲイorバイではないか?”」という邪推は不毛だと思う

*2:『狼の一族 アンソロジー/アメリカ篇』、『棄ててきた女 アンソロジー/イギリス篇』、『エソルド座の怪人 アンソロジー/世界篇』など品切れ近いので早めの入手を!

*3:国書刊行会 須永朝彦編 書物の王国8 「美少年」にも収録