傑作吸血鬼漫画ー『ヘルシング』
吸血鬼の定義は曖昧だと思う。『羊たちの沈黙』の中で脇役の警官がJ.フォスターに「彼(ハンニバル・レクター博士)は本当にドラキュラだと思う?」と尋ねるシーンで首を捻った。どう考えてもレクター博士は「人食い(カンニバル)だろう。」では、吸血鬼とはなんだろう?確実なのは、「血を吸う存在」だということ。これは一度死んだ者が生き返り「アンデッド」と化す為の一手段だ。生命と血の結びつきの深さを考えるとこれは当然なのかもしれない。
血はごく基本的な物質だ。自然界には真っ赤な色をしたものはそんなにない。
犯罪心理学者 ロデリック・アンスクリーム
血は生命だ。・・・なぜなら血は強烈で曖昧なメタファだからだ。人類の文明のなかで吸血鬼信仰がいつまでも残っているのはこの為だと思う。
デヴィッド・J・スカル
吸血鬼は多少形を変えても世界各地の神話に出てくる。動物でも人間でも、空想上の生き物であったり、墓からよみがえった死者(不死者)であったりする。聖書には血の捧げものや、血を飲む人に対する警告が数え切れないほどたくさんある。ただ、キリスト教知らずの自分は、聖体拝礼の赤ワインを飲む行為はどうなんだろう?(キリストの血ならよいのか)さて、ようやく「吸血鬼=血を吸うもの」まで辿り着いた。
吸血鬼(きゅうけつき)は、民話や伝説に登場する架空の存在で、ヒトや動物の血を吸う怪物。多くのフィクションにおいて題材として取り上げられてきた。一般に吸血鬼は、一度死んだ人がなんらかの理由により不死者としてよみがえったものと考えられている。現代の吸血鬼・ヴァンパイアのイメージは東ヨーロッパの伝承に起源をもつものが強い。吸血鬼の伝承は世界各地で見られ、ヨーロッパのヴァンパイアに加え、アラビアのグール、中国のキョンシー等がある。この場合、吸血鬼という名称がもちいられているが、人間の血を吸う行為はすべての吸血鬼伝承に共通するものではない。吸血鬼の個体としてはドラキュラが有名。
吸血鬼 - Wikipedia
ここで、また混乱が起こる。血を吸うものがすべて「吸血鬼」とは限らない。「人の肉を好んで喰らう”食屍鬼”となるいわゆる”ゾンビ”」、「バルカン半島に伝承ししばしば吸血鬼と混同される”狼男”」などとの明確な線引きは曖昧模糊としていないか?そこで、吸血鬼の全体的な俯瞰像は先の引用先の下記を御覧下さい。
「吸血鬼」に関する参照:吸血鬼 - Wikipedia
さて、上記を読んでもらい手抜き(古代ギリシア・キリスト教・民間伝承etc関連)をして一気にドラキュラへ行こう。
現在のほとんどの吸血鬼のイメージは、どうしても『ブラム・ストーカー』の『吸血鬼ドラキュラ』が決定的な書物だろう。ただ、これに先立つ吸血鬼で忘れてはならないのは『レ・ファニュ』の『カーミラ』という小説。このレ・ファニュは”怪奇小説家”として邦訳短編もたくさんある。(「緑茶」が有名か?)
この辺で、休憩代わりに動画を紹介する。「カーミラ(1932)」は長いし、良いのが無い。やはり『クリストファー・リー』の動画を選ぶべきか?
さて、現在の吸血鬼像はドラキュラだとのべたが、その思いがけない落とし子が、日本でうまれた。マンガ『ヘルシング』だ。この作品こそドラキュラの吸血鬼像に革新的な変化をもたらした。
「血とは魂の通貨、命の貨幣。命の取引の媒介物に過ぎない。血を吸う事は命の全存在を自らのものとする事だ」
「ヘルシング 8巻」 セラス・ヴィクトリアのセリフより
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『ヘルシング』の魅力については、アーカード(Draculaの逆読み)の設定にある。まだ連載中だし、知らない人も多いだろうからWIKIを参照のこと。*2
マンガについて述べることほど「野暮ったい行為」はないし、同じことは映画についてもいえる。とにかく「読めばいいのだ!」丁度連載中のヘルシングは、いよいよラストが近そう?だしこれ以上は書かない。ので、動画を紹介しようと思ったが、なかなか良いのがない。仕方なく適当に2つ紹介する。
注:最後の動画の「リップ・ヴァン・ウィンクル」は、長髪に眼鏡の女吸血鬼。旧式マスケット銃を武器に、魔弾の能力を持つ。魔弾の射手。 武器のマスケット銃でホーミング能力を持った銃弾を撃つことができ、さらにこれは対象に命中した後も運動能力を失わず一発で複数の獲物を仕留めることができる。この能力で、少佐から歌劇になぞらえて「魔弾の射手」の称号を与えられる本人も気に入っている様子でこの動画でも『魔弾の射手』(の「狩人の合唱」)を歌っている。
P.S.
「仲間」という三島由紀夫の短編は、よく分からないという人がいますがあれは”吸血鬼”の親子の話です。
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